日曜朝の礼拝「絶望の淵を越えて」

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絶望の淵を越えて

日付
説教
望月信牧師
イエスがまだ話しておられるときに、会堂長の家から人が来て言った。「お嬢さんは亡くなりました。この上、先生を煩わすことはありません。」イエスは、これを聞いて会堂長に言われた。「恐れることはない。ただ信じなさい。そうすれば、娘は救われる。」(49,50節)ルカによる福音書 8章49節~56節

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 主イエスは、一人娘の死を知らされたヤイロにおっしゃいました。「恐れることはない。ただ信じなさい。そうすれば、娘は救われる」。これは人間が語ることのできる言葉ではありません。主イエスがまことの神、また救い主であるからこそ語ることのできる言葉です。この言葉を語るお方が共にいてくださるところに、まさに救いがあります。

 想像するしかありませんが、ヤイロはその場で泣き崩れたのではないでしょうか。主イエスが来てくださるなら助かるかもしれないとわずかな希望を抱いていました。家からの使いの者が「お嬢さんは亡くなりました。この上、先生をわずらわすことはありません」と言いました。それが通常の言葉でしょう。死んでしまったならば終わりなのです。けれども、「これでもう本当に終わりなのでしょうか。死んだと知らせがあり、それでもあなたは来てくださいますか」。ヤイロはそう言いたかったのではないでしょうか。それに対して主イエスはお答えになりました。「恐れることはない。ただ信じなさい。そうすれば、娘は救われる」。

 主イエスはヤイロに信仰を求めておられます。人間の理解や経験を超えて、「ただ信じる」ことを求めておられます。私たちは通常、自分が信じられると思うものを信じています。そこには私たちの価値判断が入っています。あの人はしっかりしている、信頼に値する、だから信じようと考える。この人が保証してくれているからと、誰かの判断を手がかりにして信じることもあります。「信じる」ことにおいても、ある信頼性を、信じるための手がかりを求めます。ところが主イエスは「ただ信じなさい」と言われる。それは、人間の知恵や経験によって判断することができない領域があるからです。そして、実に、自らが無力であると痛感し、人間の知恵や力が頼りにならないと思わせられるとき、そこに救い主イエス・キリストが立っておられることを知ることが大切なのです。

 「恐れることはない。ただ信じなさい。そうすれば、娘は救われる」。ヤイロは、この主イエスの御声に耳を傾けました。それが素晴らしいことです。ヤイロには「先生をわずらわすことはありません」と伝えられていました。けれども、ヤイロは主イエスを自分の家に案内しました。そこにヤイロの信仰があります。しかし、果たしてどれほど信仰と言えるものだったのだろうか。彼自身が積極的に主イエスを案内したのだろうか。いや、積極的だったのはむしろ主イエスご自身です。真実には、ヤイロは主イエスにうながされるままに主イエスに希望をゆだね、自分自身をゆだねて、自宅に案内しただけです。実のところ、主イエス・キリストがヤイロを支え、導いて、ヤイロは自宅まで来ることができました。

 けれども、ここに信仰の歩みの模範があります。すなわち、信仰とは主イエス・キリストが先だって歩み、私たちを導いてくださる、そのようにして、主イエスに引っ張られて、ゆだねて歩むことなのです。主イエスにうながされての信仰、それがまことの信仰であると申し上げなければなりません。私たち自身は無力を味わっているかもしれない。けれども、その中で主イエスに導かれることが起こります。主イエスに引っ張られて、神に自らをゆだねる信仰の歩みを始める幸いが与えられます。

 自分の力の限界を感じ、無力を味わうことがあるかもしれません。それは悲しみと苦しみの経験かもしれませんが、決して無駄ではありません。むしろ神によって益とされます。自分の力ではなく、主イエスが私たちを引っ張ってくださることを経験できるからです。そして、その経験を積み重ねることによって、神にゆだねる信仰に生きることへと成長させられます。ヤイロが主イエスの御声に聞き従ったように、私たちもキリストの御声に聞く群れとして、信仰の歩みを重ねて参りましょう。

説教要約について

説教要約は、説教を要約したものです。 音声は、説教要約の音声化ではなく、実際に行った子ども向けの説教と賛美歌、 聖書朗読と説教の録音です。一ヶ月程度、音声データも公開させていただきます。

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