2019年度の説教要約 (新しい順)
人となられた神
ヨハネによる福音書 1章1節~18節「初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった」。主なる神は言葉によって世界を造られました。神が「光あれ」という言葉を発すると、そこに光が生じ、「水の中に大空あれ」と言われると、大空ができ…
神の子とするために
ガラテヤの信徒への手紙 4章1節~7節「しかし、時が満ちると、神は、その御子を女から、しかも律法の下に生まれた者としてお遣わしになりました」(4節)。「その御子を女から」とは、神の御子が聖霊によっておとめマリアの胎に宿り、人間の肉をとら…
陰府にくだり~使徒信条19~
詩編 139編1節~12節聖書において、「陰府」とは死者の世界であり、暗闇に覆われ、死の力に支配された滅びの世界です。とりわけ霊的な死の世界であり、肉体が墓に葬られるように、私たちの魂が死の世界である陰府にくだると考えられ…
葬られ~使徒信条18~
マタイによる福音書 27章57節~61節十字架で処刑された者の体は、通常そのまま野ざらしにされて、鳥の餌食にされます。普通、息を引き取るまでに二日三日かかるため、生きながらにして肉を鳥についばまれるのだそうです。主イエスの場合、お体が弱…
死にて~使徒信条17~
マルコによる福音書 15章33節~41節救い主イエス・キリストは死なれたお方です。このことは、大いに驚くべきことです。主イエス・キリストは、人となられたとはいえまことの神であられ、罪もけがれもないお方です。本来、死すべきお方ではないと思…
十字架につけられ~使徒信条16~
コリントの信徒への手紙一 1章18節~25節使徒パウロは、「十字架の言葉は、滅んでいく者にとっては愚かなものですが」(18節)と言い、十字架は「ユダヤ人にはつまずかせるもの、異邦人には愚かなもの」(23節)だと指摘しました。私たち人間の普通の感…
苦しみを受け~使徒信条15~
ペトロの手紙一 2章18節~25節使徒信条は、「おとめマリアより生まれ」に続いてただちに「ポンテオ・ピラトのもとに苦しみを受け」と告白します。それは、主イエスの地上のご生涯の全体を苦しみとして理解するからです。主イエスが私たちの罪…
恐れを捨てて主に従う
ルカによる福音書 5章1節~11節この日朝早く、人々に話し終えられた主イエスは、ペトロに「沖に漕ぎ出して網を降ろし、漁をしなさい」と言われます。ペトロたちは、夜の間、漁に出ていたものの、何もとれずに帰ってきて、網を洗って片付けてい…
ポンテオ・ピラトのもとに~使徒信条14~
ヨハネによる福音書 19章1節~16節ポンテオ・ピラトはローマ帝国の総督です。この男が主イエスを十字架につけると定めて、十字架刑を執行しましたから、キリスト教においてたいへん評判の悪い人物です。しかし、使徒信条は「ポンテオ・ピラト」の…
おとめマリアより生まれ~使徒信条13~
ルカによる福音書 1章26節~38節ハイデルベルク信仰問答は問35で、「『主は聖霊によりて宿り、おとめマリアより生まれ』とは、どういう意味ですか」と問い、「永遠の神の御子、すなわち、まことの永遠の神であり、またあり続けるお方が、聖霊の…
聖霊によりてやどり~使徒信条12~
マタイによる福音書 1章18節~25節主イエスの御降誕は、しばしば「処女降誕」と言われます。処女から子どもが生まれることはとても不思議で、人間的には興味深いものです。このことを科学的、合理的に解決することを願って、いろいろなことが考え…
我らの主~使徒信条11~
フィリピの信徒への手紙 2章6節~11節「我らの主」と言われる「主」は、固有名詞ではなく関係性を言い表す言葉です。「我らの主、イエス・キリスト」とは、「イエス・キリストを自分の主とする」ということです。そして、「主」という言葉のもっとも…
獅子の口を閉じる神
ダニエル書 6章1節~29節メディア人ダレイオスがバビロニア帝国を受け継ぎました。ダレイオスは、すでに80歳くらいになっていたと推測されるダニエルを、首相のような立場に任命しようとしました。すると、それをねたむ人たちがいて、ダ…
たといそうでなくても
ダニエル書 3章1節~30節ネブカドネツァル王が、自分の権威と力を誇って、当時のいかなる像よりも巨大な金の像を建てました。その像の除幕式に際して、高官たちが集められ、金の像の前にひれ伏して拝むことが命じられました。これは、ネ…
郷に入って郷に従わず
ダニエル書 1章1節~21節ダニエル書は、偶像礼拝を強要される中で信仰に立ち続ける信仰者を励ますために書かれた黙示文学の一つです。ダニエル書はバビロン捕囚時代のことを取り扱っていますが、文書として編集された時代、ユダヤはセレ…
その独り子~使徒信条10~
ヨハネによる福音書 1章14節~18節「我はその独り子、我らの主イエス・キリストを信ず」。この「独り子」は、主イエスがただ一人の神の御子であることを意味しますが、ヨハネ福音書の「父のふところにいる独り子である神、この方が神を示されたの…
イエス・キリスト~使徒信条9~
マタイによる福音書 1章18節~25節私たちは主イエス・キリストを信じて、キリスト者とされています。この「イエス・キリスト」とは、「イエス」がお名前で、「キリスト」は油注がれたお方、救い主という意味です。ですから、「イエス・キリスト」…
そして~使徒信条8~
コリントの信徒への手紙一 2章1節~5節使徒信条は、「我はその独り子」で始まる第二項で、主イエス・キリストを信じる信仰を告白しています。ラテン語では、第二項は「そして」という小さな言葉で始まります。第一項を含めて申し上げますと、「我は信…
天と地の造り主~使徒信条7~
創世記 1章24節~31節汎神論の一つであるアニミズムでは、自然の事物すべてに霊が宿っていると考えられるようです。足元に転がる石ころにまで霊が宿っていて、私たち皆が神秘的な存在とされていると考えます。それに対して、キリスト…
創造主なる神~使徒信条6~
創世記 1章1節~5節キリスト者は「天地の造り主なる神を信ず」と告白します。全能であり、慈しみ深い父なる神は、天地を造られた神である。それゆえ、この世界は神の御手の作品である。キリスト教信仰には、この広がりがあります。…
聖霊によって生きる
使徒言行録 2章1節~47節弟子たちは、エルサレムで一つところに集まっていました。1章15節に、120人ほどの弟子たちが一つになっていたとあります。おそらく、このときも120人ほどの弟子たちが集まって、天に上げられた主イエス・キリスト…
全能の父なる神~使徒信条5~
エフェソの信徒への手紙 1章15節~23節キリスト者は、ただ超越的で絶対的なお方としての神ではなく、「全能の父なる神」を信じています。超越的で絶対的な神を無色透明なイメージで思い浮かべるとすると、それに加えて「全能の父なる」という色が付い…
神は愛である~使徒信条4~
ヨハネの手紙一 4章7節~16節使徒信条は大きく三つから成り立っています。第一は「我は……父なる神を信ず」であり、父なる神を信じる信仰の告白です。第二は「我はその独り子、我らの主、イエス・キリストを信ず」とあり、御子イエス・キリス…
生けるまことの神~使徒信条3~
出エジプト記 3章1節~15節日本では、「鰯の頭も信心から」と言われるように、信じる対象がどなたであるのかよりも、信仰する人自身の心のありようが大切にされ、信仰する心、信心が尊ばれるように思います。人は、信じ、信じられて、生き…
我は信ず~使徒信条2~
ローマの信徒への手紙 10章8節~13節使徒信条は「クレドー」という言葉で始まります。「我は信ず」、「わたしは信じる」という言葉です。この言葉は、信仰の主体、信じる主体が私たち人間であることを言い表しています。信じる、それは私たちが信じ…
信仰の継承~使徒信条1~
マタイによる福音書 16章15節~19節教会は、神の御言葉である聖書に耳を傾けるだけでなく、使徒信条をはじめとする信条、信仰告白を用います。プロテスタント教会は宗教改革において「聖書のみ」と主張しました。それは、当時の教会が聖書から導き…
死に打ち勝つ勝利
ルカによる福音書 24章1節~12節週の初めの日、すなわち、日曜日の朝早く、婦人たちが主イエスのお体に香料を塗るために出かけました。すると、お墓に封をしてあるはずの石がわきに転がされていました。中をのぞいてみると、主イエスのお体が見…
正しい人の死
ルカによる福音書 23章44節~49節主イエス・キリストは、安息日前日の金曜日に十字架につけられました。午前9時前後に十字架につけられ、お昼の12時頃には全地が暗くなり、それが午後3時くらいまで続き、その午後3時頃、主イエスは「父よ、わたし…
葬りの備え
ヨハネによる福音書 12章1節~8節エルサレムに入る前日の土曜日、主イエスはベタニアのマルタとマリアの家に滞在しておられました。この箇所には、そこで行われたマリアの驚くべき行為が書き留められています。マリアが高価なナルドの香油を主イ…
魂の渇きを癒やされる
ヨハネによる福音書 4章1節~15節主イエスは旅の途中、サマリア地方のシカルに来られ、井戸のそばで休んでおられました。そこへやって来たサマリア人の女に、「水を飲ませてください」と頼まれます。当時、ユダヤ人はサマリア人を、歴史的な経緯…
真の隣人イエス・キリスト
ルカによる福音書 10章25節~37節ユダヤ人と推測される一人の人が追いはぎに襲われて倒れており、祭司とレビ人が通りかかりました。彼らは主なる神に仕える立場であり、「あなたの神である主を愛しなさい、また、自分を愛するように隣人を愛しな…
あなたの隣人は誰か
ルカによる福音書 10章25節~37節ある律法の専門家と主イエスの対話が書き留められています。「何をしたら、永遠の命を受け継ぐことができるでしょうか」との問いかけに答えて、主イエスは「律法には何と書いてあるか」と尋ねました。彼は、「『…
幼子への福音
ルカによる福音書 10章21節~24節この箇所は非常に貴重な箇所です。一つには、主イエスの祈りの言葉が書き留められているからです。もう一つには、主イエスの感情が明らかにされて、主イエスの喜びが示されているからです。主イエスは、祈りの中…
あなたがたの喜びは何か
ルカによる福音書 10章17節~20節喜びは、私たちの人生において欠くことのできない大切なものの一つです。人は、喜びがあってこそ活き活きと生きることができます。たとえば、家族の笑顔が喜びであり、その笑顔によって生きる力が湧いてくるとい…
平和の福音の使者
ルカによる福音書 10章1節~16節主イエスは、「まず、『この家に平和があるように』と言いなさい」とおっしゃいました。私たちが宣べ伝えるべきは、「平和の福音」にほかなりません。この平和は、第一に垂直的な、縦の関係における平和です。主…
収穫の主に遣わされ
ルカによる福音書 10章1節~12節主イエスは、十二弟子に加えて七十二人を御自身の弟子にして、福音を宣べ伝えるために遣わされました。この七十二人は、今日の一般の信徒にあたります。主イエスを信じる信徒一人ひとりが主イエスの弟子であり、…
主の弟子として生きる
ルカによる福音書 9章57節~62節「死んでいる者たちに、自分たちの死者を葬らせなさい。あなたは行って、神の国を言い広めなさい」。「鋤に手をかけてから後ろを顧みる者は、神の国にふさわしくない」。葬儀も家族への挨拶も拒むようなことを主…