日曜朝の礼拝「心を痛める神」

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心を痛める神

日付
説教
望月信牧師
主は、地上に人の悪が増し、常に悪いことばかりを心に思い計っているのを御覧になって、地上に人を造ったことを後悔し、心を痛められた。主は言われた。「わたしは人を創造したが、これを地上からぬぐい去ろう。人だけでなく、家畜も這うものも空の鳥も。わたしはこれらを造ったことを後悔する。」しかし、ノアは主の好意を得た。(5~8節)
創世記 6章1節~8節

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 ノアの洪水は、ただ大水が出たという類いの出来事ではありません。「大いなる深淵の源がことごとく裂け、天の窓が開かれた」(7:11)とあり、言うならば、天と地の、水との境が取り除かれたような出来事です。この箇所では、その決断に至った神の内面の思いが示されています。

 1節から4節は、その決断に至る背景です。難解ですが、明らかなことは、「人の娘たちが美しいのを見て、おのおの選んだ者を妻にした」ことが問題なのだということです。原文では複数形の「妻たち」であり、「おのおの選んだ者を誰でも妻たちとして自分のものにした」ということです。「妻」という言葉が用いられてはいますが、これは真実には妻ではなく、「これこそわたしの骨の骨、わたしの肉の肉」という「一体」となって愛し合う夫婦(創世記2:23,24)でもありません。ここには、気に入った女たちをとにかく自分のものにして、多くの子どもを産ませているだけという情景が描かれているのです。女は「助け手」として与えられた(創世記2:18)、霊的な交わりの相手にほかなりません。主なる神は、人格的な対話と交わりによって互いを尊び助け合う存在となるべく男と女という性差を造り、人間に与えてくださいました。けれども、いったい何ということか。人は神を畏れることを忘れ、気に入った相手をとにかく自分のものにして、子どもを産ませているだけではないか。

 その悲しみと嘆きの中で、主なる神は、一つには、「わたしの霊は人の中に永久にとどまるべきではない」とおっしゃって、人間の一生を百二十年にとどめるようにされました。これは、実際には、ノアの箱舟以降に実現するものとされました。ノアの箱舟以降、人間の寿命は急速に短くされたのです。今日、長く生きてもせいぜい100年、120年であるとは、人間の罪が地上に満ちることがないよう、神が年齢を制限しておられるということにほかなりません。そしてもう一つとして、「すべて肉なるものを終わらせる時がわたしの前に来ている。彼らのゆえに不法が地に満ちている。見よ、わたしは地もろとも彼らを滅ぼす」(13節)とおっしゃって、主なる神は洪水を起こすことを決断されました。

 この洪水が神の嘆きと悲しみの結果だったことを心に留めましょう。主なる神は感情がないお方ではありません。むしろ人を愛してくださるのであり、それゆえ、人の悪が増していることをご覧になって、「後悔し、心を痛められ」ました。「後悔する」とは罪を深く悲しみ嘆く感情を表し、「心を痛める」とはご自分を責め、苦しんでおられるということです。

 ですから、大地を滅ぼす決断は、感情的な憤り、怒りによるのではなく、神の義の現れです。罪は罪として滅ぼされなければなりません。そして、そこにおいて主なる神は、神の義と神の愛が一つとなるところをお求めになりました。それが洪水を通して大地を新しくし、一人の人を救い出すということでした。洪水による滅びを通して新しい大地が創造され、残りの者がそこで新しい人生を始めることが計画されたのです。

 主なる神は一人の人を見いだし、恵みと憐れみをお与えになります。「ノアは主の好意を得た」。「好意を得た」とは、神の恵みを得たということです。ノアも罪人の一人であることに変わりはありません。けれども、神はノアを新しくされた大地に生きる残りの者として選び出されました。ノアはまさに恵みを得たのです。こうして、神はなお人をあきらめておられません。人を愛し、この世界を愛して、御自身に従う者をなお求めておられます、期待しておられます。人は、実に、罪のゆえに滅ぶべきものでありながら、なお神に期待されています。神に期待されて、なおあるを得ている。私たちも、皆さんお一人おひとりも、神に期待されて、あるを得ている。そこに私たちの希望があり、救いがあります。

説教要約について

説教要約は、説教を要約したものです。 音声は、説教要約の音声化ではなく、実際に行った子ども向けの説教と賛美歌、 聖書朗読と説教の録音です。一ヶ月程度、音声データも公開させていただきます。

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