日曜朝の礼拝「主イエスのまなざし」

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主イエスのまなざし

日付
説教
望月信牧師
一時間ほどたつと、また別の人が、「確かにこの人も一緒だった。ガリラヤの者だから」と言い張った。だが、ペトロは、「あなたの言うことは分からない」と言った。まだこう言い終わらないうちに、突然鶏が鳴いた。主は振り向いてペトロを見つめられた。ペトロは、「今日、鶏が鳴く前に、あなたは三度わたしを知らないと言うだろう」と言われた主の言葉を思い出した。そして外に出て、激しく泣いた。(59~62節)ルカによる福音書 22章54節~62節

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 この直前の過越の食事の席で、ペトロは「主よ、ご一緒になら、牢に入っても死んでもよいと覚悟しております」と言いました。その気持ちは決して偽りではありませんでした。主イエスが捕らえられ、連れて行かれて、ペトロは「遠く離れて従った」のです。これは、単に行列に従ったというのではなく、主イエスに従ったということです。そうしてペトロは、いわば敵の陣地である大祭司の屋敷の中庭に入り込みました。主イエスが捕らえられて、当然、自分も捕らえられるのではないかと、ペトロには恐れがあったでしょう。それにもかかわらず主イエスに従ったのですから、ペトロは強い人物だと言えるでしょう。主イエスを真に愛していたのであり、また、自分の言葉に忠実であろうとしていたのです。

 けれども、人間のそのような強さは、たいへんもろいものに過ぎません。ペトロは、女中たちの問いかけに対して、「あの人を知らない」、「いや、そうではない」、「あなたの言うことは分からない」と答えました。それぞれ表現は違いますが、いずれも主イエスとのつながり、主イエスとの関係を否定する言葉です。恐れの中で、とっさに自分を守ってしまったのです。ペトロに問いかけた三人は、名前も記されない、その意味で小さな人物です。人間とは不思議なもので、人前で公に発言を求められた時には、しっかり考えて慎重にものを言うことができます。それに対して、不意に尋ねられたときに、自分でも思わぬ態度を取ってしまう、自分でも考えていなかった、自分を守る言葉が飛び出してしまうということがあるものです。そして、とりわけ、相手が小さな人物である場合、訂正もせずに放置してしまう。人間とは、自分に真実に忠実であるということが困難な、愚かな存在にほかなりません。

 鶏が鳴き、主イエスが振り向いてペトロを見つめた。そのとき、ペトロはすべてを悟りました。一つには、自分が確かに主イエスを三度否定したということです。主イエスがおっしゃったとおりであった。人間が真実に立つことがどれほど困難であるのか。ペトロは自分の弱さと愚かさ、そこにひそむ罪を思い知らされました。そして、もう一つ、振り向いてペトロを見つめる主イエスのまなざしは、その弱いペトロを決して否定していないということです。ペトロは主イエスを否定しました。けれども、主イエスはペトロを決して否定しておられない。このあと、主イエスは大祭司や総督ピラトの裁判を受け、その後、十字架につけられて殺されます。それは、弟子たちの裏切りをもすべてご自身に引き受けて、十字架につけられてくださるということでした。

 ペトロは、もはや主イエスの弟子であることなどできないと思ったでしょう。けれども、ペトロは、このあとも主イエスの弟子であり続けました。それは、主イエスのまなざしに捕らえられたからです。主イエスは決してペトロを責めるのではない、むしろ弱くもろい罪人である自分を受け止めて、十字架につけられてくださる。ご自分に対する裏切りさえ、深い愛をもって受け止めてくださる。ペトロは、救い主のそのお姿を悟って、外に出て激しく泣きました。そうして、もはや恐れに捕らえられるのではなく、主イエスのまなざしに捕らえられて生きる者とされたのです。

 ペトロに注がれたまなざしは、ペトロひとりのものではありません。神の御言葉を与えられ、聖霊を注がれて、私たちも主イエスのまなざしを知る者とされます。そして、私たちも、主イエスのまなざしに捕らえられて生かされるのです。自分の愚かさと罪に打ちのめされて、神のみもとに立ち帰る者とされます。自分の強さによってではなく、主イエスに支えられて生きる者とされます。そのところでこそ、私たちは、何度失敗しても立ち上がる、真実の強さを持つ者として生かされるのです。

説教要約について

説教要約は、説教を要約したものです。 音声は、説教要約の音声化ではなく、実際に行った子ども向けの説教と賛美歌、 聖書朗読と説教の録音です。一ヶ月程度、音声データも公開させていただきます。

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