日曜朝の礼拝「前のものに全身を向けつつ」

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前のものに全身を向けつつ

日付
説教
望月信牧師
わたしは、既にそれを得たというわけではなく、既に完全な者となっているわけでもありません。何とかして捕らえようと努めているのです。自分がキリスト・イエスに捕らえられているからです。兄弟たち、わたし自身は既に捕らえたとは思っていません。なすべきことはただ一つ、後ろのものを忘れ、前のものに全身を向けつつ、神がキリスト・イエスによって上へ召して、お与えになる賞を得るために、目標を目指してひたすら走ることです。(12~14節)フィリピの信徒への手紙 3章12節~16節

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 今年の標語聖句の御言葉です。「後ろのものを忘れ、前のものに全身を向けつつ」とあり、身を乗り出すようにして前に向かっていこうとする、使徒パウロの信仰の姿勢がたいへん印象的です。とても柔らかく伸びやかな信仰の姿を思い浮かべさせられます。身を乗り出すようにして前へと向かっていく新しい一年でありたい、そんなふうに思わされます。

 「わたしは、既にそれを得たというわけではなく、既に完全な者となっているわけでもありません」。否定の言葉が重ねられていますが、キリスト・イエスに捕らえられて信仰者とされているという、肯定の事柄が前提となっています。キリスト・イエスに捕らえられて、私たちは信仰者とされている。ここに立つのです。その上で、それは自分が得たとか、自分が捕らえたと言えるようなことではありません。まして、完全な者となっていると言えるような事柄でもありません。そう言うのです。

 人間の誕生に似ています。誕生も自分の力で得たと言える事柄ではありません。誰もが自ら意図することなく、この世に生を与えられました。そうして人間として生まれて既に人間であり、けれどもとうてい完全な者とは言えない。欠けがあり未熟である。しかし、何とかしてそれを捕らえようとしている。そうして、成長させられ、おとなになるでしょう。人格的にも成熟していきます。しかし、私たちの成長と成熟には終わりがないのであり、既に捕らえたと言うことはどこまでもできません。

 キリスト・イエスに捕らえられて、信仰者として新しく生まれる者とされました。これも、誰もが自分では分からない神秘であり、神の御業です。そうして信仰者とされて、しかし完全な者ではない。何とか捕らえようとしている。そうして、前のものに全身を向けて、神がキリスト・イエスによって上へ召して、お与えになる賞を得るために、目標を目指してひたすら走っていく。伸びやかに前を向き、身を乗り出して走って行く。

 「後ろのもの」とはただ過去の事柄ではなく、「前のもの」もただ将来の事柄ではありません。「神がキリスト・イエスによって上へ召して、お与えになる賞を得るために、目標を目指して」であり、前のものとは神を目指して生きること、神を喜びとして生きるということです。私たちの人生のおもな目的は、神の栄光を表し、永遠に神を喜ぶことであるという、ウェストミンスター小教理問答の問1を思い起こさせられます。

 「後ろのもの」とは、罪に捕らえられた私たちの生き方です。神を認めない、自分中心の生き方から離れることが「後ろのものを忘れて」と言われます。決して過去を水に流してしまうのではありません。自分の惨めな失敗、自分の罪深い歩みを心に刻んでこそ、自分の生き方を改めることができるでしょう。古い生き方を離れ、神を目指して、神共にいます新しい生き方へと身を乗り出すようにして歩みます。

 そうして目標を目指してひたすら走る、これは、ですからほかの人との競争ではありません。だれかに対して勝利するというのではない。勝利と言うならば、自分に対する勝利であり、自分の罪に打ち勝つということです。罪に捕らえられて、神に対して後ろ向きになってしまう、神に対して背を向けてしまう、その古い自分、後ろのものに勝利するのです。そうして、前のものに全身を向けつつ、神を目指して歩む。

 この勝利は、自分の力で勝ち取るものではなく、神の恵みとしての勝利、恩寵の勝利です。十字架につけられ、罪と死を滅ぼして復活の勝利を勝ち取られた主イエスが約束しておられます。「あなたがたには世で苦難がある。しかし、勇気を出しなさい。わたしは既に世に勝っている」(ヨハネ15:33)。この勝利の主に依り頼み、信仰の創始者であり完成者である主を見つめて、信仰の道のりを共に走り抜いて参りましょう。

説教要約について

説教要約は、説教を要約したものです。 音声は、説教要約の音声化ではなく、実際に行った子ども向けの説教と賛美歌、 聖書朗読と説教の録音です。一ヶ月程度、音声データも公開させていただきます。

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