日曜朝の礼拝「陰府にくだり~使徒信条19~」

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陰府にくだり~使徒信条19~

日付
説教
望月信牧師
どこに行けば
  あなたの霊から離れることができよう。
どこに逃れれば、御顔を避けることができよう。
天に登ろうとも、あなたはそこにいまし
陰府に身を横たえようとも
  見よ、あなたはそこにいます。
曙の翼を駆って海のかなたに行き着こうとも
あなたはそこにもいまし
御手をもってわたしを導き
右の御手をもってわたしをとらえてくださる。(7~10節)詩編 139編1節~12節

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 聖書において、「陰府」とは死者の世界であり、暗闇に覆われ、死の力に支配された滅びの世界です。とりわけ霊的な死の世界であり、肉体が墓に葬られるように、私たちの魂が死の世界である陰府にくだると考えられています。「地獄」も、死者の世界を言い表す言葉として用いられます。地獄を意味するギリシア語は、エルサレム近くの狭くて深い谷の名前に由来します。エルサレム中のゴミが捨てられる谷であり、ゴミを処分するために絶えず火が燃やされて、悪臭を放っていたそうです。その燃え続ける炎が陰府の苦しみを示すものと理解されました。

 しかし、陰府の苦しみは決して肉体の苦しみではなく、魂の霊的な苦しみです。なぜ陰府が死の世界なのか、それは神がおられないからです。神との交わりが断たれ、神をほめたたえることのない世界だから、死の世界であり、暗闇です。命の主、すべての良きものの源であられる神との交わりがない世界だから、死と滅びの世界なのです。この点で、陰府の苦しみは、私たち罪人には真実には分かりません。私たちは、罪と死のうちに生まれ、神を知らない罪人として生きることができてしまう存在だからです。主イエス・キリストによってまことの神を信じる者とされてなお、私たちはたいへん鈍く、鈍感だと言うほかありません。

 使徒信条は、「陰府にくだり」と告白します。独り子なる神であられるお方が人となって生まれ、十字架につけられて死んでくださった、それだけでなく、死と滅びの世界にくだり、死と滅びの力に御自身をゆだねてくださいました。それが「陰府にくだり」です。主イエス・キリストは肉体が葬られて塵に返るだけでなく、魂においても死と滅びの力のもとに置かれて、霊的な死、真実の死を味わってくださいました。実に、死と滅びの力に服して陰府の苦しみを耐え忍ぶことにより、キリストは私たちに代わって神の刑罰をすべて味わい尽くしてくださったのです。

 そして、主イエス・キリストは、その陰府の苦しみの中でなお御父を信頼することに固く立ち続けられました。御父は、そのキリストに栄光を与えて、復活させられました。こうして、主イエス・キリストは、陰府の世界を討ち滅ぼして復活の命を勝ち取り、三日目によみがえられました。使徒パウロは語ります。「死は勝利にのみ込まれた。死よ、お前の勝利はどこにあるのか。死よ、お前のとげはどこにあるのか」(コリント一15:54,55)。もはや死と滅びの支配するところは、この世界のどこにも残されていません。死と滅びは、暗闇は、すべて打ち破られたのです。

 それゆえ、主イエス・キリストに結ばれた者にとって、死と滅びの世界はなく、陰府の世界もすでにありません。キリストにあって、神がすべてのすべてとなられました。こうして、詩編の御言葉が実現しました。「どこにいけば、あなたの霊から離れることができよう。どこに逃れれば、御顔を避けることができよう。天に登ろうとも、あなたはそこにいまし、陰府に身を横たえようとも、見よ、あなたはそこにいます」。「闇の中でも主はわたしを見ておられる。夜も光がわたしを照らし出す」。ここにこそ、私たちキリスト者の希望があり、慰めがあります。陰府にくだりたもうた十字架の救い主イエス・キリストのゆえに、たとえ世界の最果てに追いやられるようなことがあっても、なお私たちは孤独ではありません。主イエス・キリストが共におられます。自分の味方は誰もいない、神にも見捨てられたのではないかと思うことがあるかもしれません。しかし、確信してよいのです。主なる神がわたしをお見捨てになることはない。主なる神は、私たちが神のみもとに召されるときまで、私たちを背負い、担い、守り導いてくださるお方です。その実現のためにこそ、神の御子イエス・キリストが十字架につけられて死に、陰府にくだられたのです。

説教要約について

説教要約は、説教を要約したものです。 音声は、説教要約の音声化ではなく、実際に行った子ども向けの説教と賛美歌、 聖書朗読と説教の録音です。一ヶ月程度、音声データも公開させていただきます。

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