日曜朝の礼拝「郷に入って郷に従わず」

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郷に入って郷に従わず

日付
説教
望月信
ユダの王ヨヤキムが即位して三年目のことであった。バビロンの王ネブカドネツァルが攻めて来て、エルサレムを包囲した。主は、ユダの王ヨヤキムと、エルサレム神殿の祭具の一部を彼の手中に落とされた。ネブカドネツァルはそれらをシンアルに引いて行き、祭具類は自分の神々の宝物倉に納めた。
さて、ネブカドネツァル王は侍従長アシュペナズに命じて、イスラエル人の王族と貴族の中から、体に難点がなく、容姿が美しく、何事にも才能と知恵があり、知識と理解力に富み、宮廷に仕える能力のある少年を何人か連れて来させ、カルデア人の言葉と文書を学ばせた。王は、宮廷の肉類と酒を毎日彼らに与えるように定め、三年間養成してから自分に仕えさせることにした。
この少年たちの中に、ユダ族出身のダニエル、ハナンヤ、ミシャエル、アザルヤの四人がいた。侍従長は彼らの名前を変えて、ダニエルをベルテシャツァル、ハナンヤをシャドラク、ミシャエルをメシャク、アザルヤをアベド・ネゴと呼んだ。(1~7節)ダニエル書 1章1節~21節

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 ダニエル書は、偶像礼拝を強要される中で信仰に立ち続ける信仰者を励ますために書かれた黙示文学の一つです。ダニエル書はバビロン捕囚時代のことを取り扱っていますが、文書として編集された時代、ユダヤはセレウコス朝シリアの支配下にあり、アンティオコス四世によって弾圧されていました。律法の書が火で焼かれ、安息日や割礼などの律法に従う生活は禁じられ、エルサレム神殿にはギリシアの神であるゼウスの像が置かれて礼拝が強要されたそうです。ダニエル書は、そのアンティオコス四世による迫害を耐え忍ぶよう、エルサレムの人びとを励まします。バビロンの王ネブカドネツァルは確かに大きな権力を持っていましたが、主なる神が信仰者と共にいて、神が彼らを守り導いてくださいました。聖書の神は生きて働いておられ、ネブカドネツァルも神の権威と御力を認めざるを得ません。アンティオコス四世の支配下にあっても主は神の民を守り導いておられます。そして今の私たちも、歴史を支配しておられる主なる神を見つめて、信仰の励ましをいただくことができるのです。

 さて、ネブカドネツァル王はバビロンに連れて来た捕囚民の中から少年たちを選び出し、彼らにカルデア人の言葉と文書を学ばせました。カルデア人とはバビロンの人びとのことであり、バビロンの言葉と文書、歴史や文学を学ばせたのです。バビロンに親しみを持って育ち、バビロンのために貢献する人物になることを期待したのでしょう。また、それ以上に、カルデア人として生きることを彼らに求めることでもありました。

 ダニエルたち、四人の少年の名前が変えられました。ヘブライ人としての名前が奪い取られ、カルデア人としての名前が与えられました。ダニエルにはヘブライ語で神を意味するエルという言葉が含まれていて、「神が裁きたまう」という意味です。それをベルというバビロンの神の名前を含むベルテシャツァル、「ベル(神)が守りたまう」という意味の名前に変えられました。他の三人も、主なる神を神とする名前からバビロンの神を神とする名前に変えられました。こうして、彼らはカルデア人となり、バビロンの宗教を受け入れて生きることを迫られたのです。

 その中で、ダニエルたち四人は主なる神を信じて生きることに立ち続けました。そのことが彼らの食事に表されています。彼らは宮廷で出される肉類と酒を遠ざけることにしました。おそらく偶像の神々に献げられた肉類と酒が宮廷で提供されていたのでしょう。彼らは、偶像の神々にささげられたものを拒むことによって、まことの神のみを神とすることを言い表したのです。これは単に食べ物飲み物の問題ではなく、どなたを神とするのかということにほかなりませんでした。そのためにダニエルたちは知恵を用い、ていねいに交渉しました。大丈夫かどうかを試してくれるよう申し出て、確認してもらう期間を設けたのです。

 こうして知恵を用いて偶像を拒み、自らの信仰を言い表す者に、神の憐れみは豊かです。神の御計らいにより侍従長が好意を示したように、神は異邦人にさえ働きかけて、ご自分に忠実な者をお守りくださいます。また、神はダニエルたちに知識と才能を与えて王のそばに仕えることへと導かれました。大切なことは、うまく世渡りをすることではありません。まことの神を神として生きることなのです。「郷に入りては郷に従え」とは、この世の処世術としてはもっともなことでしょう。しかし、そこで偽りの神々まで受け入れて生きるのではありません。まわりの人たちの理解を求め、まことの神を神とする信仰に立ち続けるために知恵と力を尽くしましょう。そのとき、ダニエルたちに神の祝福が与えられたように、私たちにも神の祝福と恵みが豊かです。神の御心をわきまえて(ローマ12:2)、互いに励まし合いながら、地上の人生を歩んで参りましょう。

説教要約について

説教要約は、説教を要約したものです。 音声は、説教要約の音声化ではなく、実際に行った子ども向けの説教と賛美歌、 聖書朗読と説教の録音です。一ヶ月程度、音声データも公開させていただきます。

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