日曜朝の礼拝「到達したところに基づいて」

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到達したところに基づいて

日付
説教
望月信牧師
だから、わたしたちの中で完全な者はだれでも、このように考えるべきです。しかし、あなたがたに何か別の考えがあるなら、神はそのことをも明らかにしてくださいます。いずれにせよ、わたしたちは到達したところに基づいて進むべきです。(15,16節)フィリピの信徒への手紙 3章12節~16節

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 使徒パウロは、15節で「わたしたちの中で完全な者はだれでも」とも言います。この「完全な者」は新改訳で「成人であるもの」と翻訳されていて、成熟を意味します。すなわち、成熟している者はだれでもこう考えるべきだと言って、パウロは、自分が完全ではないと知ることを信仰的な成熟ということに結びつけています。それを得たというわけではなく、完全な者となっているわけでもない、そのことを知り、わきまえるところに信仰の成熟があるということです。この点で、信仰者の人生は謙そんにされていく歩みにほかなりません。信仰者とされてなお私たちはしばしば神を見失い、そのたびにキリストに捕らえられて神の御前に立ち帰らされます。ですから、信仰者として生きるとは神の憐れみと慈しみにほかならないと知らされるばかりで、一歩一歩へりくだらせられるのです。謙そんへと導かれる。そこに信仰の成熟があります。

 パウロは、その謙そんな姿勢の中で、「しかし、あなたがたに何か別の考えがあるなら、神はそのことをも明らかにしてくださいます」と言います。フィリピの教会に「何か別の考えがある」人たちの影響が及んでいたのでしょう。パウロは、「神はそのことをも明らかにしてくださいます」と言い、すなわち、その人たちを神の御手にゆだねます。

 もちろん、あきらめて何の対処もしないのではありません。フィリピ教会の信仰者が惑わされてはならないのです。ですから、パウロはフィリピ教会に手紙を書き送って警告し(3章2節)、また、「このように考えるべきです」と勧めて、正しく理解するよう教えます。しかし、その一方で、彼ら別の考えを持つ人たちを、直接、裁くのではありません。神がやがて明らかにしてくださる、その日を待つ姿勢を示します。パウロ自身、既にそれを得たというわけではなく、私たちが知り、理解することができる真理は一部に過ぎないからです。こうして、謙そんから生まれる寛容があると言えるでしょう。謙そんは寛容を生み出します。

 また、パウロは「いずれにせよ、わたしたちは到達したところに基づいて進むべきです」と言って、「前のものに全身を向け」る姿勢に立ち続けます。前のものに全身を向ける中で、希望を持って生きる信仰の姿勢が生まれるのです。かつてアブラハムは、故郷を旅立つ際に「わたしはあなたを大いなる国民にし」と、また、カナンに入った際に「あなたの子孫にこの土地を与える」と、主なる神から約束されました(創世記12章)。しかし、妻のサラからはイサクが一人生まれただけで、土地についてもサラを葬るための墓地を手に入れただけでした。アブラハムが実際に手にしたものはたいへん小さく、未完成だったと言えるでしょう。しかし、そのアブラハムについて、聖書は「満ち足りて死に」(創世記25:8)と語ります。未完成でしたが、主なる神を信頼して希望をもって歩むことにおいて、アブラハムは確かに満ち足りていたからです。まだ見ぬものを待ち望みながら確信をもって生きることが信仰なのであり、その信仰においてアブラハムは確かに満ち足る者とされていたのです。

 完全ではないこと、途上であることは、私たち信仰者にとって決して負い目を感じることではなく、マイナスでもありません。そこから謙そんと寛容な態度を身に着けることができます。そしてまた、完全でなく途上であるからこそ、前のものに全身を向けて新たに学ぶことができます。聖霊に導かれ御言葉に聞いて謙そんに学び続けるのであり、まだ見ぬものを待ち望む信仰に生きるのです。いま到達しているところは人によって違うでしょう。信仰の成熟の度合いにも違いがあるでしょう。しかし、私たちは皆、共に一つの目標を目指して走っているのであり、まだ見ぬものを目指して、同じ信仰による希望を抱いて走っているのです。

説教要約について

説教要約は、説教を要約したものです。 音声は、説教要約の音声化ではなく、実際に行った子ども向けの説教と賛美歌、 聖書朗読と説教の録音です。一ヶ月程度、音声データも公開させていただきます。

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