日曜朝の礼拝「地の塩として」

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地の塩として

日付
説教
望月信牧師
「確かに塩は良いものだ。だが、塩も塩気がなくなれば、その塩は何によって味が付けられようか。畑にも肥料にも、役立たず、外に投げ捨てられるだけだ。聞く耳のある者は聞きなさい。」
ルカによる福音書 14章34節~35節

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 マタイ福音書の「あなたがたは地の塩である」(マタイ5:13)がよく知られています。それに続く言葉が今日のルカ福音書の御言葉とほぼ同じです。マタイでは「あなたがたは世の光である」という御言葉とワンセットですが、これは塩の用い方と関係しているそうです。当時よく用いられていた塩は岩塩、もしくは死海が有名ですが、湖に沈殿している塩を取ったものでした。工業的に生産されたものではなく、海水を蒸留したものでもありません。そのため純度が低く、さまざまなミネラル分が含まれていて、幅広い用い方がされました。その一つが油に加えることで、ともし火の油に塩を少し加えると、ともし火の炎がより明るくなるのだそうです。「あなたがたは地の塩である」「世の光である」とは、塩を効かせてより明るく輝きなさいということなのかもしれません。

 当時の塩のおもな用い方として三つのことがしばしば挙げられます。一つには塩味を効かせる調味料としての用い方です。とりわけ隠し味のように味付けを下支えするために塩がよく用いられます。塩がよい具合に効いていないと、どことなく味気なくなります。その意味では、信仰を持って生きるとは、どんな人生を生きようとも欠かすことができない、下支え、隠し味としての塩味のようなものだと言えるでしょう。

 二つには防腐剤としての用い方で、ものが腐ることを遅らせ、防止する働きです。肉や野菜などを塩漬けにすると長く保存できますし、調味料としての働きによって味がよくなることも期待できます。キリスト者は神の御言葉を聞いて、何が神に喜ばれ、何が悲しまれるのかを知る者とされています。とりわけ、時や場所に応じて変わってしまう価値観ではなく、時代が変わろうとも変わることのない基準を与えられていることが大切です。塩が外から加えられるように、上からの価値観や倫理をいただいているキリスト者の存在が社会の腐敗防止になるのです。

 三つには塩を畑に撒いて用いたと言われます。これは当時の塩の純度が低く、ミネラル分が多く含まれていたからでしょう。主イエスがおっしゃった、「畑にも肥料にも、役立たず、外に投げ捨てられるだけだ」とは、この肥料としての用い方を考えておられたものと思われます。キリスト者には、良い肥料として大地を豊かにする役割が期待されています。宗教改革者のカルヴァンは、この箇所を解説して、「人が神の御言葉、神の真理によって味付けられないならば、人の人生はいったいどうやって救い出されるのだろうか」と言っています。人生にはさまざまな味わいがあり、楽しむこと喜ぶことがあるでしょう。しかし、ただ人生を楽しむだけならば、愚かな金持ちの人生ということになりかねません。その意味で、キリスト者は、神の御言葉、神の真理によって人生が味付けられて、人生が神の御前に豊かにされることを知る者とされています。

 そのように塩味の効く者とされて、ここでは「役に立つ」こと、すなわち塩を効かせることが求められています。キリスト者として生きるとは、福音の担い手として主イエス・キリストを宣べ伝えることであり、この世の人々の執り成し手として生きることです。受けるだけではない、与える幸いに生きる者とされています。祝福には責任がともなうのです。

 塩というたとえは実に巧みです。塩は塩としての形を失うところで塩としての働きを果たします。塩は自分に死ぬのです。「あなたがたは地の塩である」とおっしゃった主イエスご自身、一粒の麦として地に落ちてくださったのであり、ご自身の姿を隠して地の塩となり、私たちの人生を神の御前に豊かなものにするためにご自身の生涯をささげてくださいました。私たちにも、御言葉に聞き従って自分に死ぬ、そのところで、地の塩、世の光として生きる、この豊かな祝福が約束されています。

説教要約について

説教要約は、説教を要約したものです。 音声は、説教要約の音声化ではなく、実際に行った子ども向けの説教と賛美歌、 聖書朗読と説教の録音です。一ヶ月程度、音声データも公開させていただきます。

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